耳の病気情報

眩暈症

”めまい”には回転性めまい(クルクル目の前が回る)と非回転性めまい(フラフラ・ふわふわする感じ)があります。その原因や治療法は色々考えられますが、少なくともめまいの裏側に怖い病気(真珠腫性中耳炎・メニエール病や脳腫瘍など)が隠れていないか調べる必要があります。

耳管機能不全症

例えば、よく鼻を“すする”人がいたとしましょう。鼻をすすることにより、鼻の中が陰圧(圧力が低い状態)になりますね。すると、耳管を通して中耳の中も陰圧となって鼓膜が凹むことになります。耳管は常に開通(開いている)状態ではありませんから、鼓膜は凹んだままの状態になりやすいと言えます。太鼓の皮によく例えられる鼓膜が凹んでいると耳閉感や難聴など症状が出てきます。
これは、エレベーターに乗ったり、飛行機に乗ったりしてもその気圧変化で容易に起きます。日常、よく見られる疾患と言えます。

真珠腫性中耳炎

この中耳炎は他と違い、骨を溶かすという悪い性質を持つため、良性腫瘍と考えることもできます。
耳小骨という音を伝える小さな骨を溶かしたり、耳を取り囲む側頭骨を溶かします。
耳の周囲には様々な神経があり、骨を溶かすことにより、難聴だけでなく、めまいや顔面神経麻痺(顔の動きが悪くなる)などの症状が出てきます。

突発性難聴

ある日突然片側の耳だけが急に聞こえにくくなる、内耳が原因の難聴です。約1万人に一人の確率で発症し、原因については、ウィルス感染・循環障害(血行障害)・ストレスなど心的要因などが言われていますが、はっきりとはしていません。
治療法は、内服や点滴による治療が中心で病状の理解と安静が必要と思われます。入院治療が必要な場合がありますが、手術治療の適応はありません。ただ、できるだけ早く治療開始することが重要と言われています。症状があれば、すぐに耳鼻咽喉科受診をお奨めします。

顔面神経麻痺

病因としては、前述の突発性難聴と同様に原因不明に神経が麻痺(顔の左右半分だけが動きにくくなる)してしまう病気です。顔を動かす顔面神経は耳のすぐ近くを走っていて、ヘルペスウィルスによる感染によるものをハント症候群と呼びます。
その場合、耳の痛みや難聴を起こす場合があります。できるだけ早く治療開始することが重要と言われています。症状があれば、すぐに耳鼻咽喉科受診をお奨めします。

神経性耳鳴

人間の音に対する感覚は非常に鋭敏(するどい)なもので、かつ主観的(自分本位)なものです。本を読んでいる時に近くで話し声がすると、そればヒソヒソと小さな声でも大変気になるものです。でも、発表会などで拍手喝采(はくしゅかっさい)をされると、それがどんなに大きな音でも決して不快なものとなりません。
このように音に対する感じ方は、その状況によってさまざまで、その音を気にするか・しないかということが大きく関係します。耳鳴りも同じで、確かに患者さんの耳には何かの音が聞こえているのですが、その音の正体をつきとめることが重要です。

メニエール病

病態的には、内リンパ水腫という難しい状態ですが、要するに耳の奥にある袋が水ぶくれ状態となり、眩暈や難聴を起こす病気です。その眩暈発作は、経験のある人しか分からないほどの激しさです。
しかも極めて難治性であり、進行を止めるにはイソバイドという水薬を飲むことになります。メニエル病の激しい眩暈の発作を止めるために聞こえを犠牲にして内耳を破壊する手術(手術をした方の耳は当然 聞こえなくなります)をする方もおられます。
以前はメニエール症候群と呼ばれ、めまいがするとメニエール病と診断されていましたが、実際には非常にまれな病気です。